社会・経済のうごき@しんぶん
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2006年02月28日号

サイバー犯罪、5割超の増加に

警視庁は、昨年1年間で全国の警察が検挙したITを悪用したサイバー犯罪が初めて3千件を突破し、前年比51.9%増の3161件にも上ったと発表した。また、サイバー犯罪に関する相談件数も19.2%増の約8万4千件となり、検挙・相談件数ともに過去最高となった。サイバー犯罪の中で多かったのが、虚偽の商品情報で落札者から代金を騙し取る「ネットオークション詐欺」で、サイバー犯罪の3分の1を占めた。これら以外では、出会い系サイトの「児童買春」、他人になりすましてコンピューターに侵入する「不正アクセス禁止法違反」などが目立った。



内需拡大に伴い、海外輸入が急拡大

財務省が発表した貿易統計によると、1月の貿易収支が5年ぶりに赤字になった。原油高に加え、日本の内需拡大を反映した海外からの輸入額が急拡大したことが主因である。衣料品が前年同月比23.9%の大幅な増加となるなど、アジアを中心とした消費財の輸入が拡大した。また、中国の現地生産品となっている「iPOD」などの音楽映像機器輸入の拡がりや、薄型テレビに使用される半導体の米国からの輸入も貿易収支赤字に拍車をかけた。



超低金利で、金利304兆円が家計逸失

日銀の白川理事は、参院財政金融委員会で、バブル崩壊後の超低金利で家計が得損した金利収入の累計が304兆になるとの試算を明らかにした。試算は、国民所得統計を基に1991年の家計の受取利子額(約39兆円)を2004年度まで続いたとの想定した場合と、実際に受け取った利子額の差を差し引いて算出している。



大手スーパーでパートの雇用延長

4月から高齢者の雇用延長を義務付ける改正高年齢者雇用安定法が施行されるが、イオンやイトーヨーカー堂などの大手スーパーでは、60歳定年を迎えるパート労働者を対象に、65歳まで雇用を延長できる制度を導入する。雇用環境改善の中で、パートの確保が困難になっている流通業界だけに、優秀な人材をつなぎ止める狙いがある。イオンが4月に導入する再雇用制度は、60歳で定年を迎える正社員と同等の資格・能力を持つ上級パート社員を対象に行い、イトーヨーカー堂は一般のパート労働者を対象に実施する。



業績回復で赤字法人減少が鮮明に

04年の赤字法人数は法人全体の67%にあたる約172万社であることが参院予算委員会に提出した財務省の資料でわかった。2年連続の赤字法人の減少で、ピーク時の1999年より約3ポイント低下した。赤字法人は、欠損金を最大7年間、利益と相殺できる「繰越控除制度」があり、黒字転換してもすぐさまには法人税の納付義務を負わない仕組みになっているが、こうした赤字法人減少は、ここ数年来言われてきた業績回復基調を裏付けるものである。
本年もこうした傾向が続き、税収増に貢献するとみられる。資本金別に赤字法人をみると、「1千万円未満」で3.2ポイント低下の75%、「1千万円以上2千万円未満」で2.7ポイント低下の63.7%となっており、中小・中堅企業においても回復基調にあることを示している。



中小企業の若手社員確保を支援

厚生労働省は、今国会で関連法を改正し、中小企業の若手社員の確保を支援する体制を整備している。製造現場での技術を引き継ぐ人材確保が急務ながらも、人材確保に苦労している中小企業の実情に配意したもの。具体的には、正式採用前に技能を継承する若者を試行雇用(トライアル雇用)する企業に、3ヶ月を上限に1人当たり月額5万円を助成する。また、採用ノウハウに乏しい中小企業が、職場環境改善計画を策定し、都道府県の認定を受ければ、業界団体などを通じた社員募集を従来より容易にできるようにするとしている。団塊世代の大量定年を迎える2007年問題への対応が底流にあることはいうまでもない。



平日は都市、週末は農山漁村生活を

内閣府が実施した「都市と農山漁村の共生・対流に関する世論調査」によると、「平日は都市、週末は農山漁村という生活を」希望する人が37.6%おり、とくに50代では半数近い45.5%が望んでいることが分かった。「都会暮らしに疲れた定年間際の団塊世代の心境」を覗かせるデータとなっている。実現のために必要なのは「時間的余裕」が66.8%と最多で、「医療機関の整備」「安価な家屋・土地」が30%台だった。



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