社会・経済のうごき@しんぶん
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2005年11月29日号

税・保険などの負担増には抵抗感が

財務省がインターネットを通じて実施した社会保障についてのアンケート調査結果によると、税金や保険料などの「負担水準を維持すべきだ」とする回答が37%と最も多く、「負担増を容認する」回答は33%にとどまった。インターネットを使ったアンケート調査だけに回答者の75%が20-30代で、現役世代での負担増への抵抗感が強いことも裏づける結果となった。10月に発表された内閣府の世論調査結果では、約6割が負担増を容認しているのとは好対照となり、現役世代は増税や保険料率引き上げ反対の意向が根強くあることを物語った。



生活保護は100万世帯で過去最多

厚生労働省の調査によると、2004年度に生活保護を受けた世帯は、前年より約5万8千世帯増加の約99万9千世帯となり、12年連続で過去最高を更新した。受給世帯のうち、男性65歳以上、女性60歳以上の「高齢者世帯」が約46万6千世帯と全体の半数近くを占めている。同省では、生活保護世帯の増加は「単身の高齢者が増加している」ことが影響していると見ており、今後、「受給世帯が増える可能性がある」と分析している。



有給休暇を時間単位の取得へ

厚生労働省は、有給休暇取得率の低下や雇用形態の多様化に対応する狙いから、年次有給休暇制度について、これまで最低取得単位が原則1日とされているのを、時間単位で取得できるようにする検討に入った。早ければ2007年の通常国会で関連法を改正し、2008年から導入する考えだ。年次有給休暇の1人当たりの平均取得率は、この10年間で9ポイントも下落している現状にあり、同省では取得を促進する上から、制度そのものの見直しが不可欠と判断し、現在、国家公務員に認められている時間単位の有給休暇取得制度を念頭に改正の検討に着手したもの。



IMF幹部、日本の消費税上げに言及

国際通貨基金(IMF)のアジア太平洋局の副局長が、「日本が財政再建に真剣に取り組むべき時期を迎えている」としたうえで、将来の社会保障制度の財源として「消費税率のかなりの引き上げが必要」との見方を示した。その引き上げ時期については、「日本に委ねる」とした。また、日本での量的緩和解除について、「金融市場に混乱を起こさないように、透明性の高いやり方を」と提言した。



税金の無駄や徴収漏れは251億円

会計検査院が首相に提出した「2004年度決算検査報告書」によると、中央官庁や政府関係機関での経理処理が不適切と指摘したのは、386件の合計約937億円で過去最大となったことが分かった。このうち、税金の無駄遣いと徴収漏れは、合わせて約251億円もあった。今回の報告にあたっては、2007年に民営化が迫った日本郵政公社の業務効率性に関する指摘や提言に重点が置かれ、郵便局職員による過去最高の約16億円もの郵便料金の着服、配達用の余剰バイク活用による経費削減の可能性、払い出し準備ための現金余剰による運用の不備などを指摘している。



児童虐待の相談が約3割増加

厚生労働省の集計によると、全国の児童相談所が2004年度に「児童虐待に関する相談」が、初めて3万件を突破し、3万3千件にも達し、前年度から25.7%も大幅に増加していることが分かった。2004年に改正児童虐待防止法施行で国民の通告義務が拡大されたことにより、「学校や住民からの通告・相談が増えたため」と同省ではみている。虐待の種別では、全体の約45%を身体的虐待(約1万5千件)が占めた。次いで、保護の怠慢・拒否(約1万2千件)、心理的虐待(約5千件)、性的虐待(約1千件)となっている。



無申告加算税を20%に引き上げ

財務省は、個人や法人が納税申告の必要がありながらも、申告を怠った場合に課税される無申告加算税を、現行の15%から20%に引き上げる方針だ。加算税は、申告が必要な納税者が一定の期間に所得を申告しない場合に、本来の納税額に課税される。加算税の引き上げは、適正申告と課税の公平を目指した対応で、実現すれば、19年ぶりの引き上げとなる。なお、申告期限後でも国税当局から指摘を受けずに、自主的に申告した場合の加算税は現行の5%で据え置く考えだ。来年の通常国会に提出する税制改正法案に盛り込む見通し。



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