社会・経済のうごき@しんぶん
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2005年10月11日号

厚生・共済年金、09年度から統合

政府・与党は、公務員などの共済年金と会社員の厚生年金を2009年度から8年程度かけて統合する検討に入った。年金統合に当たっては、共済年金には、職域加算と呼ばれる上乗せ給付に対する保険料があるが、これを廃止し、2017年末まで共済保険料を段階的に引き上げて、厚生年金と同水準にする計画である。実際には、共済年金の実質保険料が13.5%となっているものを、厚生年金の保険料率が上限(18.3%)に到達する17年末まで統合を完了する。また、給付に当たっても、共済年金だけにある有利な仕組みもなくし、民間と同等にする方針である。



地方財政負担額、過去最悪を更新

総務省の調査によると、地方自体の財政負担額が2004年度末で137兆円にのぼり、過去最悪の水準を更新したことがわかった。地方の財政負担は、地方債残高から財源不足に備え積立ている基金の残高を差し引いたもの。財政負担額の増加には、地方交付税の歳入減を地方債発行や基金の取り崩しで補う状態の地方自治体の実像がうかがえる。こうした地方財政の深刻さにもかかわらず、人件費などの固定経費は税収など一般的な地方財源の9割を占めている。まさに、歳出削減への大ナタが入れられていない実態を裏付けるとともに、自由に財源を使う余地が乏しい硬直化した財政運営が続いていることを物語っている。



383市町村が「地域手当」を新設

 総務省の調べによると、今秋の地方公務員給与改定にあたって、全国市町村の21%にあたる383市町村で、「地域手当」を新設する見通しであることがわかった。「地域手当」は国家公務員の基本給が、2006年度から平均4.8%引き下げられるのに伴い、大都市などでの民間との給与格差を是正する目的で導入が決定しているが、地方自治体も追随して導入というもの。地方公務員給与は自治体が独自に定めることを建前としているが、地方財政が硬直化している現状にあって、地方公務員給与改定での「地域手当」導入には、地方公務員の厚遇批判もあり、反発を招く懸念がある。



国民年金、徴収不能が10兆円に

国民年金が未納で時効を迎えて徴収不能となった額は今年度中に、累計で10兆円を突破する見通しとなった。この額は、全国民共通の基礎年金(国民年金)ができた1986年度から17年間の累計額で、年間保険料収入対比でみると、約5年分に相当する。国民年金の空洞化に歯止めがかからない実態を浮き彫りにしている。基礎年金は、国民年金だけでなく、厚生年金や共済年金も含めた制度になっており、国民年金の徴収不能額が増えると、サラリーマンにとっても負担がシワ寄せされる要因となってくる。



平均給与、7年連続減少に

国税庁のまとめによると、民間企業に勤める人が、2004年の1年間で受け取った給与額は前年より5万1千円減少の439万円であることがわかった。7年連続の減少。男性は541万円、女性は274万円。同庁では、「企業が正社員を解雇し、パート労働者を増やしているという雇用形態の変化が給与水準を引き下げている」と分析している。所得税額は、給与が減る中で、04年に配偶者控除の上乗せ分が廃止になったため、前年より約3340億増の8兆7988億円となった。



「老後の生活設計」に不安

内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査」によると、日頃の悩み・不安に思っていることは、「老後の生活設計」(48.3%)、「自分の健康」(47.6%)が上位を占め、本格的な高齢化社会を背景にした不安を抱いていることが分かった。また、政府に求める政策でも、こうした不安を背景に、「社会保障改革」(61.3%)でトップになった。ついで、「景気対策」(53.5%)、「雇用・労働問題」(37.7%)となっている。



中国、今年GDP9.2%成長へ

中国人民銀行(中央銀行)は、今年の国内総生産(GDP)の伸び率が前年比9.2%になるとの見通しを発表した。昨年より0.3ポイント下がるものの、依然として高い成長率を保持するとの見方である。昨年から成長率は先行き下がるとの見通しが強まっていたが、旺盛な投資や好調な輸出に牽引され、「やや下がるものの、なお高水準だ」との報告をまとめている。



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