社会・経済のうごき@しんぶん
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2005年11月01日号

環境税でガソリン・軽油への課税見送り

環境省が18年度税制改正で創設を目指す環境税の最終案によると、原則、化石燃料に含まれる炭素1トン当たり2400円を課税するとした。この場合、原油高等で小売価格が上昇しているガソリンや軽油は除外し、課税対象となるのは、重油や石炭、ガスとする考えだ。また、環境税の使途について、昨年は税収を社会保障費にも充てるとしたが、今回の案では、省エネ技術の開発支援や二酸化炭素の吸収効果がある森林整備などの地球温暖化に限定するとしている。産業界からは「景気悪化につながる」との反発も強く、また「森林整備という名目の公共事業につながる」との指摘もあり、来年度導入には依然困難との見方が強い。



災害時、中小企業に即日融資が

経済産業省・中小企業庁は、中小企業の経営者が退職金を積み立てる「小規模企業共済」の加入者を対象に、地震・台風などの災害時に、即日融資する枠組みを作った。災害時の中小企業の資金繰りを支援し、不慮の倒産を回避しつつ、速やかな復旧ができるようにとの狙いから実現したもの。1年以上、「小規模企業共済」に加入していた事業者が対象で、融資額は最大で1千万円となる。これまでは融資申込みから融資実行までは10日間要していたが、中小企業基盤機構に午前中に申し込めば、午後には商工中金の本支店で資金が貸し出される仕組みである。



認知症高齢者の治療同意に医師は苦慮

東京都老人総合研究所の調査によると、判断能力の低下した認知症の高齢者を治療する際、本来必要とされる患者本人の同意を得るのに「困った経験がある」医師は、全体の81%に上ることがわかった。また、治療を拒否された経験もある医師も約6割近くにも達し、専門家は「必要な治療を受けられない恐れもある」と懸念している。このため、「成年後見制度を拡充し後見人に治療の同意権を与える」(63%)、「医学的見地から意見を述べる第三者機関を作る」(49%)との医師の要望が強い。調査を行った同研究所でも「一定レベルの医療行為については成年後見人が同意を与えることができる仕組みの構築が必要」と強調している。



タイで個人債務を半減する「徳政令」

タイで、借金返済に苦しむ個人の債務を半減する財政支援策を閣議決定した。支援対象となるのは、20万バーツ(約54万円)以下の借金を抱えて返済不能に陥った個人で、貸し付けている金融機関は元本の50%と未払い利子を免除する。返済が困難な場合には、政府系金融機関が低利融資する。タイのタクシン政権は大衆迎合色の強い政策で国民の大多数を占める中低所得者の支持を集めているが、今回の政策は「バラマキ」との批判を浴びている。



住基台帳、営利目的閲覧を禁止へ

総務省の有識者検討会は、住民基本台帳の閲覧に関して、世論調査や学術調査などの公益性の高い調査のみに限って閲覧を認め、営利目的の閲覧を禁止する最終報告書をまとめた。検討会は、閲覧は原則非公開とする考えを打ち出し、公益性の高い場合に限定して閲覧を認めるが、閲覧の審査に関しても、閲覧者の公開や目的外使用では罰則を課すなど、厳格化を図るとしている。来年の通常国会で住基台帳法改正案が提出されるが、法改正に至るまでの大量の駆け込み閲覧が想定され、その防止策への検討も待たれている。



私大に「破たん保険制度」を創設

文部科学省は、経営破たんした私立大の学生を救済するための措置として「破たん保険制度」(仮称)を2008年度に創設することで検討に入った。同制度は、各私立大学が拠出し合った資金をプールし、経営破たんした私立大の在校生が卒業するまでの運転資金を確保するもので、大学版預金保険機構といえる。総志願者数が総合格者数となる「大学全入時代」を間近かに控え、私立大学の破たん処理の仕組みを総合的に整備する考えだ。



緑茶にアルツハイマー病の抑止成分

埼玉医大と米サウスフロリダ大のチームは、緑茶に含まれる渋みの成分の1つ「エピガロカテキンガレート(EGCG)」に、アルツハイマー病の原因物質とされるベータアミロイドが脳内で作られるのを抑止する作用を発見したと発表した。抗がん効果も期待されているEGCGが、将来、アルツハイマー病の予防や治療に使える可能性があるとしている。ただ、EGCGに、緑茶に含まれる他のカテキン類を加えると、アルツハイマー病を抑止する効果は大幅に減ることも判明しており、「緑茶を飲むだけでは効果は薄い」と指摘している。



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