社会・経済のうごき@しんぶん
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2005年10月25日号

56%の世帯が「物価上昇」を見込む

内閣府は、9月の消費動向調査で、1年後の物価が上昇すると答えた割合が、前月8月に比べ10.9ポイントと大幅に上がり、56.1%になったと発表した。その場合の物価上昇幅は2%未満との回答が最も多かった。背景には、原油高への警戒感や景気回復の期待感が、物価上昇見通しを押し上げたと見られる。一方、消費者心理を表す消費者態度指数は、前月比2.9ポイント下げ、45.5と3ヶ月ぶりに悪化し、内閣府は「消費者心理の基調判断を“弱含み”に下方修正」した。



海外事例をもとに財政健全化を提言

経済財政諮問会議の民間議員が、海外での財政健全化の成功・失敗事例をもとに、「増税に頼った財政再建は経済成長を妨げる」、「歳出削減は人件費や社会保障に切り込む必要がある」とした、『4つの経験則』を提言した。財政健全化の手法には、増税による歳入増と歳出削減とがあるが、民間議員は、増税だけで財政収支を改善させた場合には経済成長率は下がり、また一方、歳出削減6割・増税4割の比率で財政収支を改善させた場合には経済成長率が平均1.8%上昇したとする欧州委員会の分析を基礎に提言している。竹中経済財政担当相は「こうした経験は今後、改革の基本方針になる」との見方を示した。



健保、任意継続を1年間に圧縮へ

厚生労働省は、健康保険組合や政府管掌健康保険に2ヶ月以上加入していた会社員が退職後、それまで加入していた健康保険に入り続けることができる任意継続制度の継続期間を現行の2年間から1年間に圧縮する方針を固め、年末までにまとめる医療制度改革に盛り込む考えである。任意継続とした場合の保険料は事業主負担がなくなり、全額本人負担となるため、就労していた時よりも2倍以上になり、国保の保険料が安くなるケースも多い。また、いったん任意継続を選択した場合は、2年間は国保に移行できない面もあり、保険料滞納の要因もなるとの立場から、任意継続期間を1年間に圧縮する。さらに改正では、制度を利用できる条件を在職時の保険加入期間を現行の2ヶ月から6ヶ月に引き上げる方針である。



世界の人口は64億6千万人に

 国連人口基金は2005年版の「世界人口白書」で、世界の人口は約64億6470万人であると発表した。前年より約8700万人増加。日本は約1億2810万人で、昨年の9位から10位に下がった。同基金の世界人口の推移予測によると、発展途上国を中心に増え続け、2050年には現在よりも約40%増加し、約90億8千万人に拡大するとみている。日本の2050年の人口は現在より約12%少ない1億1220万人になると、減少予測をしている。



人員削減を視野に、公務員にスト権か

自民党行政改革推進本部は、公務員制度改革に関連して、一般公務員にスト権(争議権)を付与する検討に入った。政府・与党は国・地方公務員の定員の純減計画を進めているが、同本部には、「官制や定員の改廃、予算の減少で廃職・過員を生じた場合には、公務員を解雇できる」と規定している国家・地方公務員法の「分限免職」規定を活用し、定数削減に取り組む考えがある。しかし、労使交渉なしの人員削減には反発が必至なため、一般公務員に団体交渉権の一部である労働協約締結権やスト権を付与しようというもの。警察官や自衛隊は除くとしている。



少子化に経済的支援を母親は望む

内閣府が実施した「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」によると、約7割の母親が教育費の補助や児童手当などの「経済的支援」を求めていることが分かった。子供を持つ20-40代の女性を対象とした調査で、重要と考える少子化対策として、「経済的支援」(69.9%)、「子供を預かる事業の拡充」(39.1%)、「出産・育児のための休業・短時間労働勤務」(37.9%)を挙げた。



酒類容器に「健康に悪影響」を表記

国税庁はビールなどの酒類容器に、「大量の飲酒は健康に悪影響を与える」といった健康被害を明記するようメーカーとの調整に入った。メーカーにとって、健康ブームを背景にした酒類市場の伸び悩みが続いている中で、需要への冷え込みに拍車を掛ける痛手だが、「WHOや政府の強硬策を防ぐため、先手を打ち、自主的に取り組む方針」で、年内にも自主規制を設ける見込み。ただ、容器によっては、表示スペースを設けるためにデザインの変更も求められ、メーカーにとってはコスト負担増となる。



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