社会・経済のうごき@しんぶん
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2005年09月27日号

厚労省、中小企業の人材確保を支援

厚生労働省は、団塊世代の大量退職となる、いわゆる2007年問題を前に、来年度から、中小企業が大企業で培った能力を発揮できる人材を雇い入れるための支援に乗り出す。事業は市町村単位の中小事業主団体に委託し、大企業で知識やノウハウを蓄積した人材を団体傘下の企業に雇い入れたり、熟練社員の技能を活かしたりする新事業に、1団体5千万円を上限に資金を提供する。また、同支援事業策では、若者が技能を学ぶ施設を整え、後継者を育成することも想定している。



認知症高齢者の財産被害、親族が加害

全国社会協議会が実施したアンケート調査によると、認知症の高齢者が受けた預金引き出しなどの財産被害の半分は、子供など親族によるものであることが判明した。預金引き出しや不動産処分など財産被害が確認された約700例の加害者を調べたところ、子供が34.5%、兄弟が4.4%、その他親族が7.8%と、半数近い49.9%が親族によるものだった。また、友人や近隣住民が15.0%、話題の訪問販売による悪質商法による被害は23.2%もあった。同協議会では、「身内による被害は見極めが難しい上、本人に被害の認識がなく救済できないこともある。実際の被害はもっと広がっている可能性がある。また、高齢者本人が世話をしてもらっているとの負い目から加害者との関係を絶つのを拒む例が多い」と指摘している。



生損保会社を4段階評価で監視

金融庁は、生損保会社を対象に経営内容を格付けする「評定制度」を来年度から導入する検討を始めた。同制度は、各社が抱える問題点を明確にして改善を促すとともに、相次ぐ保険金不払いなどの不祥事を受け、顧客保護を徹底する狙いがある。検査を経て、金融庁がABCDの4段階で評価し、評価が悪ければ次の検査までの周期を短くして、徹底して、経営改善を促していくとしている。ただし、総合評価は各社だけに通知され、一般には公表しない方針である。



8月倒産、2ヶ月ぶりに増加へ

東京商工リサーチが発表した8月の全国企業倒産状況(負債総額1千万円以上)によると、倒産件数は前年同月比5.0%増の1,152件となり、2ヶ月ぶりに増加に転じた。地方の中小企業の倒産が増えたためだが、8月としては最近10年間で3番目に少なく、依然低い水準にある。負債が10億円以上の大型倒産が減り、1億円未満の倒産が6割以上を占めるなど、小規模倒産が多く、平均負債総額も2億8千万円と、5年9ヶ月ぶりに3億円を下回った。



国有地売却で、自治体割引を廃止に

財務省は、国有地を地方自治体や社会福祉法人などに売却する場合に設けている価格を割引く仕組みを2006年度から廃止し、時価売却する方針を固めた。「官向け」の割引優遇制度は国有財産法に定められ、「時価の3分の2」あるいは「6分の5」で売却されていたが、時価売却になることで、自治体は20-50%の負担増になる。財務省はこれまで自治体が学校や公園などを整備しやすいようにとの立場から優遇してきた経緯があるが、これらの整備は進んでおり、売却価格を割安にする必要性が薄らいだとしている。国有地売却は税外収入として国庫収納となり、昨年度は4千億円が財政に寄与している。



電子マネー普及で、硬貨流通が減少

日銀は、100円玉など世の中に流通している硬貨枚数が7月末時点で、前年同月比0.05%減の915億7千枚で、1971年調査開始から初めてマイナスに転じた。JR東日本が発行する「スイカ」やビットワレットが運営する「エディ」などの電子マネーの台頭が流通枚数の減少につながった主因とみている。第一生命経済研究所では、「電子決済が拡がるにつれて、硬貨の流通量はさらに減少していく」とみている。



1バーレル60ドル続けば、1月も電気値上

電気事業連合会の勝俣会長(東京電力社長)は、記者会見で、「現状の1バーレル60ドル台が続けば、来年1月も値上げすることになる」と、原油高の電気料金への影響見通しを示した。電力会社は原油価格の3ヶ月ごとに料金に反映させる燃料費調整制度により、本年10月も10社が値上げすることになっており、原油高が家計にジワリと影響を与え始めつつある。



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