社会・経済のうごき@しんぶん
バックナンバー
2005年09月20日号

年金、負担・給付とも公務員が有利

財務省が社会保障審議会年金数理部会に提出した公務員共済の将来推計によると、今後20年程度の保険料率は厚生年金より公務員共済は1-2%程度低くなるとした「官民格差」を浮き彫りにした推計結果が呈示された。05年度の保険料率をみると、厚生年金の14.288%(労使合計負担)に対し、実質的保険料率による算出で、国家公務員が13.5%、地方公務員が12.7%となる。公務員共済は今後段階的に引き上げられ、31年度以降は16.5%に固定されるが、厚生年金の固定化は17年度から18.3%とされる。給付額で見ても、国家公務員共済加入者の年収平均である676万円の人の給付額は民間より1ヶ月当たり4-9万円多くなる計算である。公務員共済には、加入者本人死亡後の遺族年金の受け取り対象が広いなどの数多くの恩典があり、年金一元化論議の焦点となりそうだ。



2007年、労働契約法を制定へ

厚生労働省は、労働条件などを労使間で決める際の基本的なルールや手続きを定めた「労働契約法(仮称)」を2007年にも法案を提出し、制定する方針を固めた。終身雇用制度の崩壊やパート・派遣労働などの働き方の多様化により、労働の最低条件を定めた労働基準法で対応しきれない実情に即したもので、新法の必要性が高いと判断したもの。労働契約法では、①労働組合との交渉などに代わる労使協議の場として「労使委員会」を認める、②解雇トラブルを金銭解決できる、などの紛争処理の新しい仕組みを目指しているのも大きな特徴である。



44%の世帯が物価上昇を見込む

内閣府が行った7月の消費動向調査によると、聞き取り調査対象の全国約5千世帯のうち、先行き物価上昇を見込んだ世帯が前月比1.9ポイント増の44.1%に達していることが分かった。とくに、冬場に灯油などの消費が多い北海道や東北では、前月比5.1ポイント増の49.3%の世帯で物価上昇見通しを示した。関係者は「原油高が物価上昇見通しにつながった」とみている。



景気拡大期間、44ヶ月目に

2002年2月から始まった「景気拡大局面」が44ヶ月目に突入した。バブル崩壊後の景気拡大期(93年-97年)を抜き戦後3番目の長さで、あと5ヶ月持続するとバブル景気の期間と並ぶことになる。ただ、従前の景気拡大期間と違って、生産や消費に力強さはなく、回復テンポは緩やかなため、拡大の実感が乏しいのが特徴といわれている。高橋進内閣府政策統括官は「企業部門の好調さが家計部門にも広がってきたところだ。回復の持続力は高く、この先1年程度は回復が見込め、拡大期間がバブル景気を抜くことは十分考えられる」としながらも、「先行きリスクとして原油高や中国経済の急減速、長期金利の急上昇などが考えられる」との警戒感も指摘した。



生損保の保険料の引下げを弾力化

金融庁は、内閣府令や保険会社の監督指針を12月にも改正し、生命・損害保険会社が販売している商品の保険料引下げを、各社が自己責任と経営努力で可能にするといった弾力化方針を打ち出した。保険料の引き下げを弾力化する幅については、保険料のうち、圧縮可能な「営業職員経費などの販売経費分(付加保険料)」を限度としている。付加保険料は、保険料の種類や加入時期によっても異なるが、一般に、損保は保険料総額の平均3割、生保では1-7割程度とされており、引下げ余地は大きいと同庁はみている。徹底した経営合理化が顧客からの支持を得られる構図となり、横並び意識の強い保険会社の価格競争時代へと突入することになる。



NHK受信料不払いに法的手段

橋本NHK会長は、117万件に達している受信料不払い問題に関して、「支払いを求める法的手続きに踏み切る」意向を記者会見で明らかにした。放送法では、テレビを設置した視聴者にNHKと受信契約を結ぶことを義務付けていることを前提に、「支払いを拒否・保留している視聴者に民事訴訟法を活用し簡易裁判所を通じた支払いの督促手続き」を行うものとみられる。



全国初、新宿が中3まで児童手当

東京都新宿区は、子育て世帯に経済支援する区独自の制度として、06年4月から小学4年-中学3年生を対象とした児童手当を支給する。国の制度が小学3年生までで、中学生まで拡大するのは全国初。金額は第2子まで1人あたり月5千円、第3子以降月1万円としている。



トップへ