社会・経済のうごき@しんぶん
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2005年08月23日号

政府系9金融機関が赤字転落

政府系9金融機関の2004年度決算によると、最終損益は前年度の5千594億円の黒字から一転して、1千470億円の赤字に転落した。金融庁が不良債権処理の厳格化を促し、融資の焦げ付きに備え、従前より貸倒引当金を積み増したことや、回収不能に陥った債権が増えたことが、業績悪化の要因である。9機関のうち、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、住宅金融公庫の3機関が赤字となり、とくに国民生活金融公庫は5期連続の債務超過で、業績悪化に歯止めがかからない場合、税金投入といった形での国民負担につながる懸念も出てきている。



高齢医療保険、加入者1割の負担に

厚生労働省は、2008年度に新設する高齢者医療保険の財源について、75歳以上の加入者の保険料を1割とし、現役世代の医療保険からの財政支援で4割、そして残りの5割を公費負担するという財源負担案を軸に、検討を始めた。医療保険改革に当たっては、医療保険を新設する高齢者と、現役世代の現行制度双方ともに、地域単位に再編し、地域ごとに運営される仕組みとなる。このため、地域の医療費が多ければ、保険料も高くなる制度が導入される。高齢者医療保険の財源の1割を負担する高齢者は現行より約28%の負担増となり、年間保険料も約8万円になると推計されている。



政府と日銀が、景気踊り場脱却を表明

竹中経済財政担当相は『景気は踊り場的状況を脱却している』と述べるとともに、日銀の福井総裁も『踊り場をほぼ脱却したと判断し得る』と発言し、政府と日銀がそろって景気の『踊り場』脱却を表明した。これにより、日本経済が安定した緩やかな回復を探る局面に入ったとの政府と日銀の認識が示されたことになる。『踊り場脱却』表明の背景には、企業の設備投資意欲が強いことや、個人消費の緩やかな増加、輸出の持ち直し、IT分野の在庫調整の終息傾向などが挙げられている。しかし、民間では過去最高値圏で推移する原油高に加え、企業の在庫調整は終了していないとの見方から、慎重論が根強い。



ビール大手会社の苦戦続く

上場ビール大手3社の、05年6月中間期の連結決算によると、キリンビールとアサヒビールは経常利益が減益となり、サッポロホールディングスは経常赤字に陥った。ビール類の需要減少の中で、ビール風アルコール飲料『第3のビール』のシェア獲得のための販売競争の激化による広告宣伝費や販売促進費増を吸収できなかったことが要因となっている。ビール大手各社とも、05年12月期の連結売上高予想を下方修正した。



大学進学率は過去最高の44.2%

文部科学省の学校基本調査速報によると、今春の新規高卒者と浪人生を合わせた大学進学率は、過去最高の44.2%に上ることが分かった。また、短大をあわせた大学・短大進学率は51.5%で、初めて50%を超えた。今年5月現在の大学生数も、前年比5万6千人増の286万人で、過去最高となった。



住宅証券化ローン、今年度、3倍に

住宅金融公庫によると、証券化を活用した民間金融機関の公庫提携ローンの今年度取り扱いは、6万~7万件に達する見込みであることを明らかにした。昨年実績の1万7千件の約3倍にものぼる。提携ローンは、民間金融機関が住宅金融公庫の債権買取制度を利用して、長期固定金利ローンを提供するもので、長期金利上昇の兆しがあることに加え、取り扱いを検討している大手生損保会社や商社系ノンバンクもあり、提携ローンの需要が大きいとみている。島田総裁は『将来的には年40万件程度が提携ローンの対象となりうる』と指摘している。



金融機関に顧客満足度調査を要請

金融庁は、銀行や保険会社など全ての金融機関に、顧客満足度調査を実施することを要請すると発表した。顧客保護の徹底を促すのが狙いで、調査で指摘された苦情をもとに、金融庁は経営改善策づくりやその公表も求めていく方針だ。今回の要請は、専門家から『金融機関は他の業種と比べて顧客保護についての意識が乏しい』との指摘を受けての対応。要請には法的な拘束力はもたない。金融機関からは、『民間が自主的にやるべきこと』と批判が出ている。調査手法は各金融機関の自由となるが、金融庁は聞き取り調査やダイレクトメールの活用などを推奨している。



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