社会・経済のうごき@しんぶん
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2005年08月16日号

厚生年金、過去最大の赤字に

社会保険庁は、2004年度の公的年金の特別会計決算で、厚生年金は実質ベースで5兆1千495億円の赤字となったと発表した。2年連続の赤字で、赤字幅は過去最大となった。保険料引き上げや加入者の増加で、収入は増えたものの、年金給付の増加が上回った形となった。また、国民年金は未納率の改善がみられないことも加わり、3年連続の赤字を記録した。少子高齢化の進展が避けられない中で、収支の悪化が続けば、さらなる保険料率の引き上げや給付削減といった対策が不可欠で、制度の再設計が迫られることになる。



設備投資計画額は11.6%増に

日本政策投資銀行が行った、2005年度の設備投資調査によると、全産業で04年度実績額対比11.6%増の23兆3千630億円にのぼることが分かった。堅調な企業業績と潤沢な手元資金を有していることが背景にあり、15年ぶりに2ケタ増となっている。とくに製造業は、新車投入を図る自動車、そして薄型ディスプレー増産が続く電気機械をけん引役に19.8%増となっており、バブル期並みの盛んな投資意欲を見せている。



改革特区で、農業へ100社超が参入

農水省の調べによると、2003年春にスタートした構造改革特区を受けて、民間企業の農業参入が相次ぎ、株式会社や特定非営利活動法人(NPO法人)は107法人にのぼることがわかった。安全な作物を目指す食品メーカーや外食産業のほか、新たな事業機会を狙う地方建設業の参入が目立っている。法人の農業参入は、この9月から全国で解禁になり、今後さらに民間会社の新規参入は増加するものと見られている。国内の農業総生産額は5.3兆円(GDP比1.1%)に過ぎないが、農業への新規参入によるすそ野の広がりで市場規模は拡大すると期待されている。



医療・教育分野でのIT活用促進

政府のIT戦略本部は、06年以降の新戦略を検討する論点案の中で、ITを使う側の「国民・利用者の視点」を重視し、医療や教育分野での利用促進を挙げた。医療では電子カルテの導入や遠隔医療などの「医療連携」の導入を取り上げ、教育では、子供がITを使いこなす能力を養成することや、教育用コンテンツ(情報の内容)の標準化することを掲げている。



法人税減税を巡り省庁間攻防

経済産業省と財務省との間で、法人税減税の取り扱いを巡り、攻防が繰り広げられている。経産省は、03年度に導入され05年度末に期限切れとなる「IT投資促進税制」「研究開発促進税制」「留保金課税の特例」などの経済活性化や企業の競争力の強化を目指した総額約1兆円の法人税減税について、延長を求める方針を掲げている。これに対して、財務省は「景気は回復途上にあり、役割は終えた」との立場から、縮小・廃止すべきだと主張し、06年度の税制改正の焦点となりそうだ。



所得1千万円以上の年金未納も

社会保険庁の調べによると、年間1千万円以上の所得がある世帯のうち、加入者本人が国民年金の保険料未納の割合は11%にも達していることが分かった。これを受けて、社保庁は、所得の高い未納者については保険料の強制徴収に乗り出す方針である。保険料を納めなかった未納者を所得階層別にみると、「200万円以上500万円未満」が18.9%と最も多く、「所得なし」(17.7%)、「200万円未満」(17.0%)と続いている。また、所得1千万円以上の未納者に意識調査したところ、「もう少し生活にゆとりができたら納めたい」が34.6%と最も多く、「公的年金は信用できず納める考えはない」が24.3%で、制度への不信感を露にする人も少なくなかった。



15県で個人住民税の増税を

総務省の調べによると、都道府県民税のうち、「住民税均等割」を05年に引き上げたか、また来年度に引き上げる予定の自治体が15県に上ることが分かった。均等割の引き上げは、森林保全などの環境対策名目で行われ、納税者の負担額は年間300円~1,000円となっている。自治体は、国の財政悪化で地方交付金などの減額される方向にあるなか、98年度からの所得割・均等割とも独自に引き上げられる上限制限がなくなったことを受け、個人住民税の増税は、自治体が独自で歳入を上積みする姿勢が強くなってきていることを示すものである。



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