社会・経済のうごき@しんぶん
バックナンバー
2005年06月14日号

500万円以上の所得者を強制徴収

社会保険庁は、市町村が持つ住民の所得情報をもとに、年間所得500万円以上の国民年金保険料未納者を強制徴収の対象とし、再三の呼び掛けに応じない場合は、預貯金などの財産を差し押さえる方針だ。同庁は、60%台で低迷する保険料収納率を、07年度に80%に高める目標を掲げており、目標達成には強制徴収が避けられないとの判断にもとづく措置である。しかし、所得基準を強制徴収の対象にすることには、「皆年金制度」の趣旨に矛盾するとともに、不公平感が生じ、さらには500万円未満の未納者に安心感が醸成されるのではとの指摘もある。



大手行の不動産融資が急増

大都市圏での地価下げ止まりを背景に、大手銀行の不動産融資が急増し、2004年度の不動産業向け新規融資が急増している。日銀によると、国内銀行の設備投資への貸出し統計では、新規融資全体が前年度比2.9%減少している状況の中で、不動産向けが15.3%増となっており、その突出ぶりが伺える。バブル時の過剰融資が懸念されるが、大手行は、六本木の防衛庁跡地の再開発プロジェクトといった特定不動産事業に融資する、いわゆるノンリコース融資型が圧倒的に多く、日銀や金融庁からの危惧に対し、優良不動産物件融資といったリスク管理体制を強化する姿勢をみせている。



法務省が「電子債権法」創設を検討

法務省は、企業が持つ売掛債権や手形などを電子化して、インターネット上で取引する電子債権市場を整備するための「電子債権法」(仮称)創設の検討を始めた。企業の資金調達手段の多様化につなげる狙いで、今年度中に法案をまとめる意向である。電子債権市場は、商品を納入した企業が代金を受け取る前に生じる売掛金などをネット上で売買するシステム。また、手形を電子化することによって印紙税や保管コストなどがかからない利点がある。



減少傾向が続く小売店

経済産業省が発表した2004年商業統計によると、小売業の事業所数は123万8296で、1958年以来の低水準となつた。規模別にみると、従業員が100人を超える大型小売店が増え、数人が働く小店舗の廃業が相次いだ構図となっている。また、総合スーパーの半数以上が1日12時間営業する店舗であることもわかった。



郵貯限度額超過は230万人に

日本郵政公社が5月末時点の調査で、1人1千万円までの預け入れ限度額を超えている利用者が最大230万人にものぼることが判明した。公社では、複数口座に貯金を分散している利用者の貯金総額を把握する「名寄せ」作業を行い、来年3月末までに、限度額を超える利用者全員に貯金減額をするよう求める方針である。03年度調査時点では限度額超過は約79万人だったが、今回の調査で2.9倍にも増加している実態が浮き彫りとなった。



好調な外資系生保、15.5%増

生保の3月期決算によると、保険料収入は国内大手9社の合計が前期比3.8%減だったのに対し、外資系主要6社は15.5%増と好対照な結果となった。外資系は保険料の安さと商品内容の分かりやすさが個人の支持を得たことが好業績を収めたのに対し、様々な特約を組み合わせる複雑な商品の多い国内生保との差が業績結果の差になった構図である。個人の関心が死亡保険から医療保険などの「第3分野」にシフトしていることを裏付けた。



熟年離婚は減少傾向に

厚生労働省の人口動態統計によると、2004年の離婚件数は27万815組で2年連続減少した。なかでも、結婚20年以上のいわゆる「熟年夫婦」の離婚も前年より6.9%減少した。また、ガンによる死亡数は前年比3.5%増の約32万人で、ガンは81年以降死因の第1位を続け、3人に1人はガンで死亡している。ガン死亡を男女別にみると、男性のトップは肺がん、女性は大腸がんとなっている。



民間企業も相次ぎ「クールビズ」

松下電器産業などの電機・電子の大手企業約30社は、ノーネクタイや上着なしの「クールビズ」(軽装運動)をスタートさせる。また、オフィス冷房温度もセ氏28度に設定したり、広告塔の消灯、社員の家庭のCO2排出量を計算する「環境家計簿」を奨励するなど、業界や企業ぐるみでの省エネ・温暖化防止への積極的な取り組みを始めている。



トップへ