社会・経済のうごき@しんぶん
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2005年05月24日号

消費税率5-7%の引上げで均衡

財政制度等審議会がまとめた来年度以降の長期試算によると、10年後に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を均衡させるためには、歳出削減だけに頼った場合では国債費を除く一般歳出を約3割圧縮する必要があり、また消費税率の引き上げで賄うとすれば5-7%の引き上げが必要になる、と発表した。名目成長率1.6-2.8%で推移することを前提に算出したもので、現状の歳出を維持しつつ増税を行なわければ、2015年度時点の基礎的財政赤字は05年度の16兆円から24.9兆円にまで膨らむとして、前述のような歳出削減ケースと消費税率引き上げケースを呈示した形だ。



多発する、地震保険の契約拒否

新潟県中越地震や福岡県西方沖地震を契機として、首都圏を中心に企業向けの地震保険への申込みが急増しているのに対し、損保各社は、莫大な保険金の支払いができないとの恐れから、引き受けを拒否するケースが多発している。背景には、保険会社間で保険を掛け合う『再保険』が米同時テロ以降、再保険料が高止まりしており、損保会社は引き受けたリスクを思うように再保険に回せない実態がある。火災保険料を年10万円支払っている東京のある会社では地震保険を付けると1200万円の上乗せになるとの見積もりを呈示されたケースもある。



公立小・中の30-35人学級を検討

中央教育審議会の義務教育特別部会は、公立小中学校の学級編成基準を現行の1学級40人から「30-35人」編成に引き下げる検討を始めた。これは、地方自治体の判断で独自に40人を下回る少人数学級を導入する動きが広がってきたための動きだが、学級編成基準の引き下げは教員の増員にもつながり、義務教育費国庫負担が増えることにもなり、今後、曲折も予想される。



サラリーマン1世帯貯蓄、1273万円

総務省は、2004年のサラリーマン世帯の貯蓄と負債状況について発表したが、1世帯当たりの貯蓄は1273万円(前年比1.5%減)、負債は住宅ローンを借り入れる人が増加し655万円(8.3%増)となった。貯蓄のうち、有価証券の割合が前年より0.4ポイント増え、8.3%となり、少ないながらも投資へ向かっていることを示し、運用の変化もみられる。



新薬の『保護期間』を延長へ

厚生労働省は、新薬の保護期間を現行の6年から8年に延長する検討に入った。日本の保護期間が欧州に比較して短いことや、製薬会社大手から画期的な新薬を開発しても投資費用を回収するのが困難であるとの指摘から、延長の検討を開始するもので、来年の医療制度改革に併せて実施する方針だ。



生保、団塊ジュニアに照準商品を

生命保険各社は、年齢30歳前後の団塊ジュニアを照準にした商品開発と販売を強化する方針だ。業界ではここ数年、古典的な死亡保障商品が頭打ちとなり、医療や介護、年金保険などに力を入れてきた。住友生命は4月から死亡保障を少なくする代わりに医療や生活習慣病、介護などの生前保障を厚く保障する「ライブワンDJ(団塊ジュニア)」を投入。団塊ジュニア人口が約1800万人と多く、年齢が30歳前後に達することで、生命保険加入ニーズが高いとの思惑が生保各社にある。



中小融資強化へ大手行が方針

東京三菱銀行など大手5行は、大企業の資金需要が低迷する中、中小企業向け無担保融資の2005年度実行額を前年度実績比20%アップして7兆円に増やす方針だ。しかも、従来型の不動産担保ではなく、融資先の在庫や売掛債権などに着目した新型の融資も強化する。貸出金利は年2-4%台。このため、大手行は、中小企業向け融資拠点を確保するとともに、中小企業への融資ノウハウを持つ信用金庫OB社員の人材の拡充を行うとしている。資産の少ない中小企業にとって資金調達の選択肢が拡がるとともに、低金利も手伝って、資金調達の機会といえる。



住民基本台帳閲覧を制限へ

政府は、閲覧で得た個人情報を悪用する犯罪防止の立場から、住民基本台帳の第三者の閲覧について、原則公開としている現行制度を見直す方針を固めた。『住民基本台帳閲覧制度に関する検討会』は10月までに最終報告をまとめ、来年の通常国会に改正案を提出する考えだ。



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