社会・経済のうごき@しんぶん
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2005年05月10日号

総務省、行革徹底を求め地方行脚に

総務省は、先月末から地方8ヶ所に幹部職員を派遣し、自治体首長を対象に行革の徹底を直接指示している。これは、大阪市などでのヤミ退職金やスーツ支給といった地方公務員厚遇が指摘されたことを背景に、人員や給与削減、過剰な手当の廃止を総務省が自治体に迫ったもの。昨年は、1兆円超の交付税削減に対して爆発した地方の不満に平身低頭に首長の声に耳を傾けた格好の総務省だったが、来年度予算編成で地方歳出の大幅削減を財務省が求めてくることが必至なため、今年は一転して、厳しい姿勢で行革の徹底を求めている。



2007年問題で製造業に危機感が

厚生労働省が行った「能力開発基本調査」によると、団塊世代が60歳に到達し大量に退職し始める、いわゆる2007年問題で、全体の22.4%が何らかの危機感を持ち、製造業ではその比率が30.5%に達していることがわかった。危機感を持つ理由は、「意欲ある若年・中堅の確保が難しい」(63.2%)、「技能・ノウハウの伝承が円滑に進まない」(51.1%)となっている。



所得税収、4ヶ月連続で増加

財務省は、3月の所得税収が前年同月より31%増加し7350億円となったと発表した。4ヶ月連続で前年同月比を上回った。税収増は、配偶者特別控除の縮小に加え、企業業績回復による給与の増加が寄与したとみている。所得税収の昨年4月からの年度累計では12兆4659億円となり、前年同期比で5.2%の増加となった。



原油輸入価格、19年ぶりの高値に

日本の原油輸入平均価格(運賃・保険料込)は、4月上旬に1キロリットル当り3万742円となり、19年ぶりに3万円台となった。原油価格が過去最高になったことや円安が影響したことによるもの。原油価格の高値推移や為替が円高に大きく振れない限り、今後も輸入価格は高水準にとどまる公算が強いと見られている。



中国産石炭の対日価格、過去最高に

中国産発電用石炭の2005年度対日輸出価格交渉が、1トン当たり56.93ドルと過去最高額で決着した。前年度比17.9%引き上げで、主力のオーストラリア産も20%近い値上げで決着しており、今後、電力会社やセメントが会社などの燃料コスト上昇につながることは必至である。今回の中国産の引き上げは、中国の自国内での消費拡大に伴う輸出規制が強まっていることが背景にある。



農水省以外は債務超過に

財務省は、2003年度の省庁別財務諸表をまとめたが、農林水産省を除く全省庁が負債と国債残高の合計額が資産額を上回る「債務超過」に陥っていることがわかった。債務超過額が大きいのは総務省で、約122兆円となっている。国債残高が多く、さらに財政投融資や民間借入金が大きいことが浮き彫りになった。公的年金の預かり金を抱える厚生労働省は約64兆円の債務超過となっている。



残業の割増賃金の支払規制を緩和

厚生労働省は、休日や週40時間を超えて働く労働に対する割増賃金を支払う規制で、適用除外となる範囲を拡大する方針を固めた。現行では、管理者は適用除外とされ、一般従業員には残業や休日労働の場合、25%以上の割増賃金を支払うよう義務付けられているが、研究開発や企画立案、編集など、働き方について本人裁量が大きく、時間管理が難しいホワイトカラー職種にも適用除外を行うというもので、同省では2007年の国会に改正案を提出するとしている。



心の健康に問題ある社員は増加

労務行政研究所の調査によると、うつ病・ノイローゼ・統合失調症などの精神の不調全般を抱える社員の最近3年間の増減を企業に尋ねたところ、52%の企業が「増加」と回答を寄せ、メンタルヘルス(心の健康)を病む社員の増加が顕著であることが分かった。増加が目立つ年代層のトップは30代の39%になったことについて、同研究所は「リストラで中高年が減った分、責任が重くなる一方、採用抑制で仕事量が増え、ストレスを受ける余地が大きい」とみている。また、企業のメンタルヘルスへの対応が不十分と答える向きも半数以上を超え、これからの労務管理の主題となりそうだ。



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