社会・経済のうごき@しんぶん
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2005年03月22日号

温暖化対策に最大7千億円の追加を

中央環境審議会は、京都議定書目標達成計画に基づく二酸化炭素(Co₂)など温暖化ガスの削減目標を達成するためには、省エネや森林整備を促進するために最大7千億円の追加対策が必要とする最終答申案をまとめた。焦点となる財源については、「既存の財源からの捻出は困難」としたうえで、化石燃料に課税する環境税の具体的な取り組みを早急に検討する必要があるとして、環境税を想定しているが、同税に対する反発も強く、調整は難航が予想される。



名目成長率を上回る社会保障給付費

内閣府は高齢化の進展で、2010年代前半には、社会保障費は名目成長率(4%程度)を上回り、急増するとの試算をまとめ、経済財政諮問会議に提出した。年金の伸びは名目成長率を下回る小幅な伸びだが、医療・介護は6―8%と高い伸びが続くとしている。高額医療が普及していくことが背景にあり、消費税率引き上げや、財務省が主張する「社会保障費も聖域ではない」とする歳出削減策もいずれ国民への痛みとなってくることは必至である。



公取委、納入業者イジメの違反を明示

公正取引委員会は、大規模小売業者による違法な納入業者イジメの行為を具体的に明記した告示をまとめるとともに、監視強化の方針を示した。告示では、押し付け販売、従業員の派遣、協賛金の提供、さらには独禁法違反事実を公取委に報告した業者への報復などが盛り込まれている。公取委が独禁法違反で大型店への排除勧告は、昨年の消費税の総額表示導入から増加しており、消費税分の値下げを迫る例が相次ぎ、業者の不満が噴出した恰好だ。



地価下落が響き、国富は6年連続減少

内閣府は、2003年度国民経済計算を発表したが、これによると、土地・建物などの国民資産から負債を差し引いた正味資産(国富)は03年末時点で2724兆円と、前年末より2.6%減となり、6年連続で減少した。地価下落が最大の要因で、土地資産額だけでみると、13連続の減少。ただ、株式は株価上昇を反映し4年ぶりに値上がり益が発生した。



県民所得の格差はさらに拡がる

内閣府は、2002年度の県民所得計算によると、全国平均では約291万円で、前年比1.2%減で2年連続でマイナスとなった。製造業が好調だった山口県など9県で前年度を上回ったものの、建設業が不振だった鳥取県や埼玉県などの落ち込みが見られた。地域間の格差が拡がったことを示す県民所得の変動係数(内閣府試算)は、13.1%と前年を0.6%上昇し、格差拡大を裏付けた。



国保保険料の時効、過去最悪に

国民健康保険で未納となって時効となり徴収できなくなった保険料は、2003年度に1400億円に達し、過去最高を更新した。時効額は毎年1割のペースで増え続け、7年で2倍に増加し、保険財政は悪化の一途を辿っている。03年度は納付率が過去最悪の90.21%。若年層の多い大都市の納付率は87%まで落ち込んでいる。結果、市町村国保の赤字額は一般会計からの補てん分を除くと、合計で3865億円のも上る。



昨年の人口増加率、戦後最低に

総務省が発表した2004年10月1日現在の推計人口によると、国内総人口は1億2768万人で、前年比で6万7千人増加した。増加率は0.05%で、過去最も低かった02年を下回り、戦後最低となった。人口増加数と増加率が戦後最低となったことに関して、同省では「低出生率傾向に加え、海外で働くため出国する男性が増えたことが原因」とみている。



精子と卵子を結ぶタンパク質「イズモ」

大阪大学遺伝情報実験センターは、精子と卵子を縁組するタンパク質を発見し、そのタンパク質を「イズモ」と名づけた。受精に関係するタンパク質は卵子側にあるものが知られているが、今回、精子の頭の部分にあるタンパク質で、このタンパク質が働かないと、卵子と出会ってもいったいとならないことを確認した。今回の発見によって、精子に問題がある不妊の治療法に可能性があるほか、タンパク質を女性の体内で機能しないようにできれば効き目の長い避妊薬の開発に役立つとしている。



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