社会・経済のうごき@しんぶん
バックナンバー
2004年10月26日号

消費者団体訴訟を2006年度導入

政府は、急増する消費者被害の拡大を防止するうえから、個人に代わって消費者団体が企業を相手取った裁判を起こすことのできる「消費者団体訴訟制度」を2006年度中に導入する方向で検討に入った。現在、製造物責任法(PL法)やクーリングオフ制度によって消費者個人を救済する仕組みはあるものの、一個人が企業を相手に訴訟を起こすのは難しく、泣き寝入り状態にある。この消費者団体訴訟制度では、悪徳商法や不当な契約や勧誘行為による被害が発生した場合に消費者団体が訴訟を起こし、契約を無効にする差止請求を可能にするというもの。



シャープが全社員に環境教育を

シャープは、10月から約3万人の全社員を対象とした「環境教育」をeラーニング(遠隔教育)の活用により実施する。カリキュラムは、地球温暖化、電気製品と化学物質、廃棄物問題などの5項目で構成され、それぞれの項目ごとに学習とテストが社内のパソコンを使って受講する仕組みとなっている。環境意識の徹底化を図るとともに、将来は社員ごとの受講履歴を人事異動や昇進の参考データとするなど人事評価の側面を持った、業界でも珍しい取り組みである。



潜在的国民負担率は2050年に59%

三菱総合研究所は、税金と保険料、そして将来担うこととなる財政赤字を加えたいわゆる潜在的国民負担率は、2004年の45.1%が、2025年には55.9%、さらに2050年には59.9%となるとの推計予測をまとめた。負担率上昇の大きな要因は医療費の急増によるもので、医療費給付は現在の27兆円から2050年には110兆円に膨らむ。財務省や経済界が訴える50%ラインを急ピッチで超えることは必至で、抜本的改革が急務である。



両生類の3分の1が絶滅の危機に

国際自然保護連合は、全世界のカエルなどの両性類の3分の1にあたる1856種類が絶滅の危機にあると警鐘を発している。両生類は皮膚の浸透性が高く、汚染物質の影響を受けやすく、環境汚染が絶滅を促しているとしている。



消費税引上げ時の軽減税率には慎重

政府税制調査会は、消費税の税率引き上げ時において食料品の税率の軽減問題について、税率が欧米並みの15%を超える場合に検討する課題として一致した意見を示した。増税後の税率10%前後にとどまる場合には、すべての商品に一律の税率が適用する考えだ。また、環境税導入問題に関して、検討すべき課題であるとしながらも、来年度の税制改正に盛り込むのは時期尚早との見解を示した。



雇用環境の好転で上向く消費者心理

内閣府が行った「9月の全国消費動向調査結果」によると、消費者心理を示す消費者態度指数が一般世帯で、前回6月調査よりも2.3ポイント上昇の45.8となり、8年3ヶ月ぶりの高水準となった。消費者の購買意欲が強まってきていることを示している。背景には雇用環境が改善していることが挙げられるが、依然として所得の伸び悩み、年金保険料の負担増などがあり、個人消費の先行き見通しについては予断を許さない。



希望する若者に職業訓練チケット

内閣府と厚生労働省は、若年層に就職を促す方策として、職業訓練を希望する若者に対して、「職業訓練券」を配布するバウチャー(利用券)制度を導入することで検討に入った。検討されている制度では、バウチャー券を個人に配布し、本人が職業訓練を希望する民間の専修学校や専門学校、公立職業訓練校などの入学金や授業料などにあてるもので、訓練校はバウチャー券を国に提出し補助金相当額を受け取る仕組みとなっている。バウチャー券は、換金・譲渡はできないとしている。



銀行が事業承継の有料サービス

三菱信託銀行は、中小企業の事業承継対策を有料で指導・コンサルティングを行うサービスを開始する。同行のコンサルタントが半年掛けて企業やオーナーの資産や経営状況を分析診断し、事業承継に向けた選択肢や問題解決策を盛り込んだ「事業経営財務診断報告書」を作成し、企業に提出する仕組みである。有料は銀行では初めて。



トップへ