社会・経済のうごき@しんぶん
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2012年10月30日号

上期の貿易赤字額、過去最大に

財務省の発表によると、2012年度上期(4~9月期)の貿易統計で、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は3兆2189億円の赤字となり、統計の比較可能な1979年度以降で過去最大となった。また、貿易収支の赤字額が3兆円を超えたのも初めてとなった。対中国の貿易赤字が4期連続になったに加え、対欧州連合(EU)の貿易収支が初めて赤字に転落した。世界経済の減速に加え、原発事故を契機に液化天然ガス(LNG)などの燃料輸入の急増が背景にある。



金利1%上昇で金融機関の損失は8兆円

日銀がまとめた「金融システムレポート」によると、国内金利が1%上昇すると、評価損は8.3兆円に上ることが分かった。金融機関での国債保有残高が増えたため、1%での金利上昇で評価損が生じることとなる。評価損の内訳では、大手銀行が3.7兆円、地域銀行が3兆円、信用金庫が1.6兆円となる。金融機関は金利変動による国債下落リスクを抱えていることになる。1年前と比較して、評価損は約1兆円増加した。



黒字法人割合、過去最低から脱却

国税庁のまとめによると、2011年度内に決算期を迎え、本年7月末までに税務申告した法人のうち、黒字申告した割合は、25.9%だったことが分かった。黒字法人の割合が過去最低だった前年度を0.7ポイント上回り、4年ぶりに上昇に転じた。申告所得総額は前年度を3.1%(1兆1047億円)上回る37兆28883億円となった。同庁では「経済状況が好転した」とみているが、今後についてニッセイ研究所では「日中関係の緊張や世界経済の不透明感から企業は下方修正のリスクにさらされている」と予断を許さない実情にあると指摘している。



9月の世界平均気温、122年間で最高

気象庁の発表によると、9月の世界の平均気温は平年を0.24度上回り、過去122年間で最高気温になったことが分かった。最高気温を記録した背景には、欧州東部や南米南部の気温が上昇したことに加え、太平洋熱帯域の海面水温が高かったことが影響したとしている。世界の観測点うち、平均気温の平年差が最大だったのは旭川市(4.6度)で、盛岡市(4.5度)、ロシア国内の観測点(4.4度)が続いた。



日本の対中投資は17%増に

中国商務省の発表によると、1~9月の日本の対中直接投資実行額は前年同期比17.0%増加の56億2千万ドル(約4460億円)に上ることが明らかになった。対中投資は、欧州連合(EU)が6.3%減、米国が0.6%減と世界からの投資が減少している中で、高い伸びを見せた日本の中国依存が際立った。しかし、反日デモを契機に、今後は東南アジアに生産拠点を移す動きも広まり、対中投資は鈍化し、「脱・中国依存」が加速するとみられる。



シニア起業数が若者起業数に迫る

日本政策金融公庫総合研究所の調べによると、2011年度の起業数全体に占める60歳以上のシニア起業の割合は6.6%となり、20年前の2.2%から大幅に増加していることが分かった。逆に、29歳以下の若者起業数は8.2%だったものの、20年前と比べ6.3ポイントも低下し、シニア起業数が若者起業数に迫っている。ただ、シニア起業の経営状態は41.1%が赤字基調にある。同研究所では、「シニア起業は事業拡大より社会貢献を優先する経営姿勢がみられる」と分析している。



ネットによる人権侵害への関心、最高に

内閣府が行った人権擁護に関する世論調査で、関心ある項目を尋ねたところ(複数回答)、「インターネットによる人権侵害」が5年前の前回調査から3.3ポイント上昇し過去最高の36.0%に達したことが分かった。最も人権侵害で関心が高かったのは「障害者」(39.4%)で、次いで「子ども」(38.1%)、「インターネット」の順だった。インターネットによる人権侵害の問題として、「他人を誹謗中傷する情報を掲載される」(57.7%)が最多で、「プライバシーに関する情報が掲載される」(49.8%)が多かった。



東日本大震災の損害額、世界全体の6割

国際赤十字社・赤新月社連盟の「2012年版世界災害報告」によると、東日本大震災の損害額は推定で2100億ドル(約16兆5600億円)となり、世界全体の自然災害による損害額の6割弱を占めた。2011年の損害額は過去10年間で最悪としている。ただ、昨年の自然災害発生件数は336件で、過去10年間で最も少なかったとしており、東日本大震災がもたらした損害の大きさを浮き彫りにしている。



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