日銀の1~3月期の資金循環統計によると、2011年度の民間企業の対外直接投資残高は前年度比18%増の46兆円に達し、過去最高になったことが分った。円高が続き、日本国内企業の海外企業へのM&A(合併・買収)が盛んに展開されたことを物語っている。その一方で、企業の預貯金残高は前年度比2.3%増の215兆円で過去最高を更新するなどしており、海外投資への攻めの姿勢と、手持ち資金を厚くする守りの姿勢とが渾然一体となっていることを浮き彫りにした。
財務省の5月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支額は9072億円の赤字となり、3カ月連続での赤字となったことが分った。5月度単月での貿易収支赤字額は過去最大。赤字の背景には、停止した原発発電の代替として火力発電所の稼働が増え、原油や液化天然ガス(LNG)の輸入が急増したのに加え、ユーロ安からドイツからの自動車輸入をはじめEU圏からの輸入も増大した。エコノミストは「世界の景気持ち直しで輸出は改善するものの、燃料輸入水準が高く、年度内は小幅な赤字が続く」とみている。
リクルートワークス研究所が来春卒業する大学生を対象にした調査によると、大企業を希望する学生数は21万2800人だったのに対して、中堅・中小企業は22万1700人となり、14年ぶりに中堅・中小企業が大企業を上回っていることが分った。大企業を志向して苦戦するよりも、早くから中堅・中小に照準を合わせる学生の現実志向が強まったもといえる。大卒者を採用したいと願う中堅・中小に風が吹き始めたといえる。
総務省がまとめた今年3月末時点での携帯電話の契約件数(PHS含む)は前年同期比7.7%増の1億3276万件に達し、過去最高を更新したことが明らかになった。契約件数は昨年12月末時点で総人口を初めて上回っており、この1年間だけでも約1千万件増加している。一方、固定型電話は契約件数が前年より361万件減少の3595万件で、減少に歯止めがかからない状況にある。
半期ごとに発表されるスパコン性能ランキング「TOP500」最新版によると、日本のスーパーコンピュータ「京」は性能ランキングで世界最速の首位から2位に転落したことが分った。計算速度が毎秒1京6324兆回の米IBM製の「セコイア」が首位となった。スパコンは大量の電気を使用するが「セコイア」は「京」に比べ半分の電力消費量で、速度に加え性能も上回った。
国民生活センターのまとめによると、全国の消費者生活センターに寄せられたインターネット上におけるオンラインゲームに関するトラブル相談件数は、6月中旬で991件にも上り、昨年同期の3倍もの増加となっていることが分った。トラブル相談は他人のID等を勝手に使用しゲーム上のアイテムを盗むといったケースが多く、不正アクセス禁止法違反罪の適用が続発している。
政府は消費税率が2014年4月以降に8%へ引き上がる際に、地方に分配する「地方消費税」の使途を開示することを自治体に義務付けることにした。消費増税関連法案では、増税分を医療・介護・年金・少子化といった社会保障関連費用に充てると規定しており、自治体に渡った地方消費税が明らかに社会保障に使われていることを国民に明示する狙いがある。消費税率が8%になると、地方消費税1.7%分、交付税1.4%分が自治体に分配されるが、このうち地方消費税の増収分0.7%の使途を明示することになる。
警察庁のまとめによると、2011年の1年間に山で遭難した人は2204人となり、過去2番目の多さとなったことが分った。このうち60歳以上の人は50.7%と半数以上を占めた。死者・行方不明者は275人に達しており、60歳以上が190人と7割近くとなっている。遭難事故の内訳では、道迷いが41.6%、滑落が16.7%、転倒が14.4%だった。入念な準備と体力増進が遭難防止には欠かせない。