社会・経済のうごき@しんぶん
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2008年10月21日号

4割強の地銀が、9月中間期を下方修正

上場している地銀88行・グループの2008年9月中間期の業績見通しを下方修正したのが39行・グループにも達した。4割強の地域金融機関の業績が悪化していることが露呈した格好だ。下方修正した39行のうち、26行が中間期は黒字だが下方修正、13行が中間期は赤字となっている。春先から、建設・不動産業の大型倒産や地域経済の低迷による中小企業の業績不振などによって不良債権処理費用が急増したのに加えて、9月のリーマン・ブラザーズの破綻でリーマン向けの債権や貸出債権の損失が下方修正の背景にある。



分譲マンション、16年ぶりの低水準に

不動産経済研究所の推計によると、2008年分の分譲マンションの全国発売戸数は1992年以来、16年ぶりに10万戸を下回る見通しとなることが分かった。発売戸数の減少とともに、売れ行きも低迷を続けており、首都圏の9月の契約率は好不調の分岐点となる70%を下回る60.1%にとどまっている。建設資材の高騰を反映して、発売価格が高止まりで推移し、所得が伸びない消費者にとって買い控えが進んでいることが、不振の背景にある。今後、米国発の金融危機で一段と購買意欲の冷え込みや、銀行の慎重な融資姿勢もあって、出口の見えない低迷が続くとみられる。家具などの住宅関連分野を含めると住宅市場の規模は50兆円とみられ、景気に与える影響は大きいと不動産アナリストは指摘している。



米国進出の日系企業、危機意識深まる

日本貿易振興機構(ジェトロ)が7―8月に、米国へ進出している日系企業を対象にした経営実態調査によると、景況感を表す判断指数(DI)はマイナス16.6で、1991年調査開始以来、過去最低となったことが分かった。DIは本年の営業損益が前年対比で「改善」と答えた割合から「悪化」と答えた割合を差し引いたもので、前年の23.9から大幅に悪化していることが浮き彫りになり、日系企業の危機意識が拡がっているとジェトロではみている。DIの悪化要因として、「米国市場での販売減少」(64.3%)、「調達コスト上昇」(55.3%)が挙げられた。調査時点が、9月の米国大手証券会社破綻以前だったことを考慮すると、今後さらに日系企業には厳しい経営環境となることは避けられない。



3割の企業で『心の健康対策』を

厚生労働省が行った「2007年の労働者健康状況調査」によると、従業員の「心の健康対策」を実施した企業は33.6%にも達していることが分かった。前回02年に実施した調査より10.1ポイントも大幅に伸びている。取り組みの内容をみると、「相談窓口の設置」(複数回答59.3%)、「従業員への教育研修や情報提供」(同49.3%)、「管理者への教育研修や情報提供」(同34.5%)の順になっている。また、同調査で企業が取り組んだ健康対策の中で、「喫煙対策」を実施した企業の割合が75.5%に上ったことも判明。さらに、労働者の81.0%が「将来の健康状態に不安を感じる」と回答した。



景気減速で、法人税収を修正へ

政府は、世界的な景気減速を背景にした法人税収の落ち込みが確実と見られることになったのを受けて、2008年の一般会計で16兆8千億円を計上している法人税を数兆円規模で減額修正する方針を固めた。一昨年から続く原材料や原油高騰に加えて、米国発の金融危機による急激な円高・ドル安で日本企業の収益構造を大きく圧迫し、法人税収が下振れは避けられないと判断。修正幅は2兆―5兆円規模と見られているが、3年後に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標はさらに遠のく可能性が色濃くなってきた。



電話から振込みまで『1時間以内』

警視庁の調べによると、振り込め詐欺のうち、「おれおれ詐欺」被害者の3割が銀行員からの忠告や制止にも関わらず、窓口やATMから送金して被害に遭っていたことが分かった。被害額300万円以上の被害者429人を対象にして聞き取り調査をしたもので、このうち129人が「行員から注意されたが被害に遭ってしまった」と回答した。また、電話があってから初回振り込むまでの時間は、「1時間以内」が36%、「2時間以内」が27%にも上るなど、大半が短時間で被害に遭っていることを考慮すると、せかして焦らす手口が垣間見えてくる。詐欺に遭ったと気づくまでの日数は「1日以上」が70%で、すぐには気づかない実態があるようだ。



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