社会・経済のうごき@しんぶん
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2008年10月14日号

金融危機、景気後退に圧力を増す

日銀は、9月の企業の景況を示す業況判断指数(DI)が全規模の製造業でマイナス11、非製造業でマイナス16となり、6月の前回調査より6-8ポイント低下したと発表した。企業規模を問わず悪化しており、とくに、大企業製造業は前回調査より8ポイント低下のマイナス3となり、5年3ヵ月ぶりにマイナスに転じた。金融危機を背景に、海外の経済・景気が減速し、輸出企業の鈍化が背景にある。企業の業況判断指数(DI)は、景況感が「良い」とする企業の割合から、「悪い」とする企業の割合を差し引いたもので、先行き見通しについても、全規模の製造業でマイナス16、非製造業でマイナス22となっており、先行きに対する悪化予測をする企業の割合が増え、今後一段の景気後退が色濃くなっている。



個人の景況感も過去最低に

日銀が行った「生活意識に関するアンケート調査」で、個人の景況感判断指数(DI)は、1996年3月の調査開始以来、最低のマイナス80.4となったことが分かった。6月の前回調査より13.1ポイントも低下している。日銀では、「所得の伸び悩みに加えて、生活必需品の値上げが進展し、消費者の景況感が悪化した」とみている。1年後の景況感については、マイナス54.7となっており、「今が最も悪い状況にあり、次第に回復していく」と見ていることも判明した。



中小企業金融の実態調査に乗り出す

中小金融の円滑化を推進している金融庁は、中小企業庁と連携し、中小企業の業況や資金繰りの実態調査に乗り出した。金融庁は、大手銀行が地方の中小企業向け融資から引き上げているなど融資姿勢が冷え込み、今後地方の実態経済に深刻な影響を与えかねないとの指摘をもとに調査を始めたもので、調査結果によっては、追加の中小企業金融対策や問題点の是正を講ずるものとみられている。順次、全都道府県での金融機関を対象に、借り手側から見た銀行の支援やリレーションバンキング(地域密着型金融)の取り組み状況を金融庁・財務局・経産省の職員が一体となって調査を進める。



温暖化対策で非化石燃料利用を義務化

経済産業省は、温暖化対策を加速させる狙いから、電力・ガス・石油の各社に対して、太陽光や水力、原子力などの非化石燃料の利用を義務化させる石油代替エネルギー法を抜本改正する方針を固めた。同法は元来、「脱・石油」を趣旨に制定されたが、今回、「脱・化石燃料」へと30年ぶりに舵を切る形となる。同省では、2030年までに国内エネルギー供給のうち、非化石燃料を現状の2割から3割へと高める方針で、来年1月の通常国会での実現を図るとしている。



燃油サーチャージ込の総額表示旅行代に

旅行会社最大手のJTBは、来年4月から、海外旅行の旅行代金について、国土交通省からの通達を受け、燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)を組み入れた総額表示方式に改めることにした。燃油サーチャージは航空会社からの申請によって3ヵ月ごとに見直しされているが、実際の料金が分かりにくいとの批判が出ていた。旅行パンフを半年単位で印刷するため、半年先のサーチャージを想定した総額表示を行うことになるが、原油価格の動向次第では、原油上昇場面では航空会社が、下落場面では利用者がそれぞれ負担が重くなってしまうリスクもある。



生活保護費の不正受給、最悪に

厚生労働省の調べによると、2007年度生活保護費が不正受給された額は91億8千万円に及び、1997年度以降で金額と件数ともに最悪になったことが分かった。不正なケースでは、就労して所得がありながら申告せずに受給していたケースが全体の56%を占めて最も多く、その他には年金収入がありながら無申告も目立った。同省や各自治体は連携しながら不正受給の発見に努め、初めから騙し取ろうとする悪質なケースは刑事告発を行っている。



定年年齢、「65歳以上」は初の1割に

厚生労働省は、2008年の就労条件総合調査によると、定年年齢を「65歳以上」とする企業が初めて10.0%となり、1割を超えた。2006年に、60歳以上を超えた人にも就労機会を設けることを義務付ける改正高年齢者雇用安定法が施行されたことが反映されているものとみられる。また、調査では、定年を「60歳」としている企業は86.0%と依然多く、同法への対応は、定年後の継続雇用で対応している企業が多いとみられる。



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