社会・経済のうごき@しんぶん
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2004年08月10日号

早くも年金改革に誤算による暗雲が

社会保険庁が公表した2003年度の国民年金の納付実績によると、未納率は前年より0.6ポイント改善したものの、36.6%と依然高い水準にあることがわかった。6月に成立した年金改革法では、国民年金保険料の未納率を2007年度に20%に下がることを前提に給付することを描いていたが、今後毎年保険料が上がることでの若者の年金離れや徴収強化が大幅に改善していない現状からすると、早くも誤算が生じかねない状況にある。



中小企業の資金繰りが改善傾向に

全国の信用保証協会によると、中小企業が融資を受ける場合に、返済不能に備えて信用保証協会と保証契約を交わす、いわゆる借入金の肩代わりは、金額にして5年ぶりに1兆円台を下回り、中小企業の資金繰りが改善されている傾向を示している。日銀の企業短期経済観測調査でも、中小企業の資金繰り判断指数(「資金繰りが楽」から「苦しい」を差し引いた値)は、マイナス8と、7年前の水準に回復しており、資金繰りで苦しむ中小企業の減少が浮き彫りとなっている。



保険料と自己負担増で健保が黒字

健康保険組合連合会によると、全国の健保組合の2003年度決算見込みは5年ぶりに黒字に転換する見通しである。これは、会社員本人の医療機関窓口の自己負担割合が引き上げられたことによる医療費給付が減る一方で、月収と賞与に同率の保険料をかける「総報酬制」で、保険料収入が増えたことによる黒字転換といえる。ただ、連合会加入の43%にあたる701組合が依然、赤字となっている。



生ごみからメタンガス燃料を抽出

環境装置のアタカ工業は、生ごみなどの廃棄物からメタンガスを回収し燃料として使用し、生産工場のエネルギーコストを削減する装置を食品工場に販売する。1日の食品廃棄物が10トン以下の工場で年間3千万円から3400万円分の燃料が節約できるとしている。食品リサイクル法が2006年度までに食品廃棄発生量を20%削減することを義務付けており、大きな需要が見込まれている。



学業成績をマイレージで評価する

関西国債大学は、学業成績や資格取得、課外活動の成果などについて、その頑張り具合に応じて、海外旅行や卒業アルバムなどの特典と交換できる「キャンパスマイレージ」制を導入する。学生のやる気を引き出すのがねらいで、学期ごとの平均成績(5段階評価で「優」が4ポイント)に取得単位を掛けて付与。資格は、簿記一級が10ポイント、また、クラブ活動では全国大会出場で15-40ポイントが付与される。1000ポイント獲得でアメリカ2週間旅行の航空券とホテル代が支給される他、学生食堂の定食券30枚が200ポイントで支給されるという仕組みになっている



高卒者、就職後3年間で5割超が離職

厚生労働省の集計によると、高卒者の就職後3年間での離職率が50.3%と5割を超えていることがわかった。2000年に就職した高卒者のうち、1年目で会社を辞めた人は約26%、2年目が約15%、3年目が約9%になっており、統計を取り始めてから初めて5割を超えた。また、中卒者の離職率は73.0%、大卒者は36.5%となっている。「フリーター」が1つの職種としての考え方が定着し、離職に対する抵抗感が薄らいできていることが背景にあるとみられている。



財務省が電子保存の範囲を明示

財務省は、2005年4月の導入を目指した政府のIT戦略本部が進めている文書の電子保存に関する「e-文書法」(仮称)に盛り込む企業の税務書類に関する電子保存についての具体的案をまとめた。財務省案では、原則、電子での保存を認めるが、貸借対照表や損益計算書、契約書、3万円以上の領収書などは対象外として、紙で保存しなければならないとしている。また、電子保存するにあたっても、紙の場合と遜色がないようなカラー画像にすることや改ざん防止のための電子署名を義務付けている。



出版業界、ヒット作で7年ぶりに増収

2004年上期の書籍販売額が前年同期比で3.2%増の4987億円と増収となった。上期に前年同期比プラスに転じるのは7年ぶり。「世界の中心で愛をさけぶ」(発売から累計316万部発行)、「バカの壁」(同366万部)、「蹴りたい背中」(同113万部)といった話題作が、けん引役となったようだ。



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