社会・経済のうごき@しんぶん
バックナンバー
2004年07月13日号

長期金利1%UPで国債費1.2兆円増

長期金利の上昇懸念が広がっているが、財務省では長期金利が上昇すると、償還財源や予算の収支バランス確保のために、国債費の追加発行が必要となり、仮に1%長期金利が上昇した場合には、1兆2千億円もの国債費が増加するとの見通しをまとめた。新規国債発行は財政悪化を招く結果となり、増税か思い切った歳出削減が求められることとなり、金利上昇は税制改革や他の改革にも大きな制約を与える状況になってきた。



夏のボーナス、過去最高に

日本経団連は、大手企業の夏の賞与・一時金の妥結状況の中間報告によると、主要18業種150社の平均は、前年同期比3.31%増の84万6300円で、過去最高になると発表した。過去最高の妥結額は、1998年の81万900円。業種別にみると、自動車(15社)平均が、初めて100万円を超えて101万9200円と高くなっている。



黒潮の大蛇行で秋に異常潮位

気象庁は、日本沿岸の潮位が夏から秋にかけて最も高くなると警戒を呼びかけている。また、7‐8月に黒潮が東海沖で大蛇行する可能性があるため、東海から関東にかけて最大数十センチ潮位が高くなる『異常潮位』が発生すると発表した。同庁は「日本沿岸の最近5年間の平均的な潮位は、この100年で最も高い水準」と警戒している。



日銀短観、景況はバブル後最高

日銀が6月に実施した企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス22と1991年8月以降、13年ぶりの高水準になったと発表した。中小企業製造業でもプラス2で、こちらも12年半ぶりにプラスに転じた。輸出やデジタル家電などの製造が好調を保ち、消費にも明るさが見え始めた。しかし一方、中小企業の非製造業は2ポイント改善したものの、依然マイナス18と業種バラツキが残り、本格的な景気回復には、程遠い感も伺える。



行政サービスを官民で競争入札

政府は、ごみ収集などの行政サービスを対象に、官と民との競争入札を実施し、いずれかにサービス提供者を決定する「市場化テスト」を2006年度から全面導入する。民間業者との競争により行政の効率化とサービス向上を図るもので、政府は経済財政運営の基本方針「骨太方針2004」にこの市場テストを盛り込む。対象となる行政サービスは、公立学校、病院、公共職業安定所、救急車による搬送やごみ収集などの幅広いサービスが想定されている。



介護・看護に外国人労働を開放

政府は、看護師・介護福祉士をタイやフィリピンなどから受け入れる方向で検討に入った。これは、アジア各国との経済連携協定(EPA)の締結に向けた一環で、慢性的な人手不足が伝えられる医療分野での看護師・介護福祉士を外国人労働者として門戸開放するもの。受け入れにあたっては、各国毎に受け入れ枠を設定し、政府開発援助(ODA)を活用して日本語教育を義務付け、日本での実技研修と資格取得を経て、労働を認めるという仕組みで実施するとしている。



団塊世代退職でGDP16兆円減も

財務省の財務総合政策研究所は「団塊世代の大量退職が日本経済に与える影響」を分析した報告書によると、労働力人口減少で実質国内総生産(GDP)は2010年度に約15.9兆円が減ることがわかった。団塊世代の大量退職で2010年度は最大幅で110万人の雇用が失われ、雇用者報酬も7.3兆円減少するとしている。さらに、雇用減少で不動産市況も、首都圏の賃貸ビル市況を中心に悪化するとしている。八代日本経済研究センター理事長は、「団塊世代の引退は経済活動や財政・社会保障収支を悪化させる効果が大きい」と指摘している。



「働かない」若者が増えている

厚生労働省によると、仕事に就かず、職探しもしていない20-24歳の若者の割合は2003年で30%となり、この10年間で5ポイントも上昇した。また一方で、働く意欲があり求職活動している24歳以下の5月の完全失業率は9.9%と、全体平均の2倍以上の高水準にあり、働きたくとも働けないとする若者も多い。若者の労働市場への不参加は、日本経済の成長力を損なう懸念がある。



トップへ