社会・経済のうごき@しんぶん
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2004年06月08日号

最先端技術の新産業で300兆円に

経済産業省の新産業創造戦略によると、日本が世界最先端技術を持つ7つの分野を、政策を総動員して、現在の200兆円の市場規模を、2010年に300兆円に育て上げるとしている。7分野は、情報家電(目標市場規模18兆円)、ロボット(1.8兆円)、健康・福祉・機器・サービス(75兆円)、環境・エネルギー・機器・サービス(78兆円)、ビジネス支援サービス(107兆円)、燃料電池(1兆円)、映像音楽等のコンテンツ(15兆円)。新産業戦略は、中国などの産業競争力が高まる5年、10年先を見越した政策であるとともに、「技術革新と需要の好循環」を加速させる狙いがある。



住宅着工、4年ぶり増加に

国土交通省は、昨年度の新規住宅着工件数は前年度比2.5%増の約117万戸と4年ぶりに増加に転じ、住宅投資の面からも景気回復傾向が確認された。同省では、「今年度も所得環境が改善すれば底堅く推移する」とみている。



化粧品各社、シニアをターゲットに

化粧品各社が、50-60代を照準においた商品開発やマーケティング活動に力を入れ始めた。ドクターベルツは50歳以上対象のスキンケアブランド「タプリス」を発売。美容効果がある「イソフラボン」を使い、女性ホルモン促進、美肌・育毛などの「老化防止」効果を前面に押し出す。価格は1万500円。コーセーは、シニア層の購買心理の研究に着手。資生堂はワコールと提携し、百貨店で化粧品と下着を組み合わせた売り場展開に着手した。



団塊世代を狙った積み立て型商品

大手旅行各社は、団塊世代の定年後の旅行需要を見込んだ積み立て型の旅行商品を相次ぎ発売している。JTBは「たびたびバンクリザーブ60」は、60歳まで旅費を積み立て、満期後に年利換算3%を上乗せした旅行商品を購入する仕組み。近畿ツーリストや阪急旅行社も、積み立て商品の売り込み用途を従来の職場旅行から定年後旅行に拡げる考え。シニア需要を喚起するマーケティング戦略が活発になりそうだ。



対外資産残高、過去最高額に

日本の政府、企業、個人が海外に持つ資産残高は、2003年末時点で前年末比5.4%増の385兆5千億円で、過去最高額となった。巨額の円売り介入で外貨準備高が増えたことが背景にある。一方、日本の株式市場の回復で海外勢の日本株投資が加速したため、負債(11.6%増の212兆7千億円)が膨らみ、資産から負債を差し引いた純資産残高は2年連続で前年末を下回った。



不法滞在外国人の罰金を10倍に

改正出入国管理・難民認定法が可決した。改正では、不法滞在への罰金の上限額を30万円から10倍の300万円に引き上げるとともに、本来の目的とは違う仕事をして収入を得た場合などの罰金も20万円から200万円に引き上げられた。また、強制送還を繰り返し受けた外国人に対しては、再入国拒否期間を5年から10年に延長した。現在約25万人いると推定される不法滞在者を5年以内に半減させる狙いがある。



生保、逆ざやは大幅圧縮へ

生保大手6社は、実際の運用実績が予定利率を下回る、いわゆる「逆ざや」が1997年度の公表以来2003年度に初めて1兆円の大台を割り込み、9600億円-9800億円に達する見通しとなった。逆ざやは、1999年度の約1兆300億円をピーク後、暫時減少はしてきたが、初めて1兆円を割り込んだ。株価運用利回りが改善したことが主な原因だが、再び逆ざやが増える可能性もあり、生保にとって依然苦しい立場にある。



パートや派遣労働者にも残業手当を

厚生労働省は、パートや派遣、請負労働者などの残業に対しても割増賃金の支払いを義務付ける法案を来年の通常国会に提出する方針である。パートや派遣労働者は厚生年金の加入を避けるため週30時間労働程度まで抑えている企業が多く、パートの残業には割増賃金を払わないところが多い。法案では、週40時間の法定時間内でも、全ての残業に割増賃金を支払うことを義務付けるとしている。パート労働が多い流通業などから、人件費負担増に批判が出る可能性は高い。



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