政府が発表した9月の月例経済報告で国内景気は「緩やかな回復基調が続いている」との判断を示すとともに、経済再生相は2012年12月から続く景気拡大が58ヵ月に達したとの認識を示した。これで1965年11月から70年7月までの57ヵ月間で続いた「いざなぎ景気」を超えたことになる。これまで景気拡大の戦後最長記録は2002年2月から08年2月まで続いた73ヵ月だった。今後の景気の先行き見通しについては「緩やかに回復していくことが期待される」としている。
日銀は9月の全国企業短期経済観測調査(短観)で企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でプラス22になったと発表した。6月の前回調査のプラス17から5ポイント上昇。4四半期連続で改善し、リーマン・ショック前の2007年9月期以来10年ぶりの高い水準となった。業種別にみると、生産用機械や業務用機械、化学などが大幅に改善するとともに、IT関連や自動車部品向けが好調だった。大企業非製造業はプラス23、注視用企業は製造業がプラス10、非製造業はプラス8だった。
世界経済フォーラムが発表した2017~18年版報告書によると、137カ国・地域の競争力を順位付けで日本は前年から1ランク下げて9位となったことが分かった。日本の競争力の評価について、高いインフラや教育水準を持つ労働力を強い競争力の要因として評価したものの、「政府債務」は最下位評価となったことに加え、デフレなどマクロ経済の状況を懸念材料として挙げられた。競争力首位は9年連続でスイスで、米国、シンガポールが続いた。
東京電力福島第1原発の廃炉に向けた中長期工程表で、政府はプールに保管された状態の使用済み核燃料の搬出を当初目標の2020年度から3年遅らせる改定を行なった。改定は2015年度以来4度目となり、廃炉に向けた作業の困難さを浮き彫りにしている。使用済み核燃料は強い方朱線を放出するため、冷却し続けなければ高温になって溶解する恐れがあり、今回の工程表改定では冷却水を掛けながら原子炉の側面から回収する「気中工法」を軸とすることが初めて盛り込れた。廃炉完了目標の2051年は変更していない。
国税庁の2016年民間給与実態統計調査によると、正規雇用と非正規雇用との平均給与差は315万円に達していることが分かった。約2万1千カ所の事業所を抽出調査したもので、平均給与は422万円(平均年齢46.0歳)で4年連続での上昇となっている。正規雇用の平均給与は487万円だったのに対し、非正規雇用は172万円となっている。正規と非正規の給与格差は調査開始の2012年には300万円だったが、その後4年間で正規は19万円増加したのに対し、非正規は4万円の増加にとどまった。
厚生労働省の2016年医療施設調査によると、昨年10月時点で産婦人科と産科を掲げる全国の病院は1332施設で、統計開始の1972年以降で最小を更新したことが分かった。減少は26年連続で、減少の背景について、同省は「出生数の減少や少子化影響したことに加え、就業環境の厳しさから医師が不足している状況もある」と分析している。さらに加えて、産婦人科と産科に関しては「施術を巡って患者から訴えられる訴訟リスクへの懸念」もあるとしている。
気象庁と海上保安庁の発表によると、黒潮が12年ぶりに大蛇行していることが明らかになった。海上保安庁の測量観測によると、和歌山県の潮岬で黒潮が安定して離岸し、東海沖で流れが最も強いところの最南下点が北緯32度よりも南に位置していることが確認された。気象庁は、秋が1年を通じて潮位が上昇するため、低地での浸水が発生する可能があるとともに、台風や低気圧の接近によって潮位がさらに上昇する危惧があるとして注意を呼び掛けている。
帝国データバンクが全国企業約2万4千社を対象にした「人口減少に対する企業の意識調査」で、人口減少が自社にどのような影響を与えるかを尋ねたところ、78.7%が「マイナスの影響がある」と答えていることが分かった。マイナスの影響と答えた企業の多くは、経済規模縮小や税・年金などの国民負担に影響があるなどとして、マクロ経済全体に与えるインパクトについての不安を感じる意見があったとしている。同社では、企業にとっても人口減少は大きな課題となりそうだと分析している。